太平洋戦争が何故起こったのか

　先日の日記でハーツオブアイアン?の事を書いた時、日本の
国家元首が天皇陛下から、大本営に変更されたと書きましたが、
それは一面、実に的を得た表現方法だと思います。

　まあ、正確には、大本営になる前の段階、すなわち

陸軍参謀本部と海軍軍令部、これが大日本帝国を私した。

　そう言っても過言ではないでしょう。

　理由は大日本帝国憲法自体が欠陥憲法だったところにあります。

　陸軍・海軍を統率する権利を統帥権と言いますが、これは
当時、天皇陛下に帰するものとされていました。
　そして、統帥権は侵さざるべからずの権利であるにも
かかわらず、陛下自体が軍事の専門家ではないために、
陸軍は参謀本部、海軍は軍令部がそれを輔弼する、ということに
なっていたのです。

　当時、陛下は議会政治を重視し、自ら意思決定をするよりも
みんなで決めたことを承認する、という立場に立っていました。

　ところが、参謀本部と軍令部は軍機にかかわる、という
一言で軍の作戦内容や基本方針に関して公開することがなく、
しかも尚、自らが統帥権の唯一絶対の行使者であるかのように
ふるまってしまったのです。

　戦争後半、時の首相である東条英機が首相と参謀総長を兼任
しようとしました。

　後世の歴史家やマスコミはこれを独裁の象徴であるかのように
書き立てましたが、実は決してそうではありません。

　東条は、逆に統帥権を取り返して、軍の暴走を止めようとした
と風神は考えます。

　信じられないことですが、ミッドウェー敗戦と空母4隻の喪失
を、時の首相であった東条が知らされていなかったのです。

　それもこれも、軍令部の機密保持と、首相自身に軍への
発言権が全くなかった事にあります。それを防ぐ為には、
今まで暗黙の了解として禁じられていた、首相と参謀総長の兼任
しか手はありませんでした。

　彼は首相になったばかりに、蚊帳の外に置かれると言う
馬鹿馬鹿しさから脱却したかったのでしょう。

　ところでよく、

　海軍は戦争反対で、陸軍の暴走に引きずられる形で仕方なく
戦った。というような言い回しがありますが、風神はこれも
間違いであると思っています。

　何より、

　　　南方進出は海軍なくして有り得ず、
　　　　　　海軍こそがアメリカとの戦争を欲した

　恐らく、これが事実であろうと思います。少なくとも、
陸軍は、海軍の助けを得なければ戦えない南方進出をやりたい
などとは思っていませんでしたし、仮想敵国はあくまでソ連
でした。

　すべからく、時の対米戦を欲したのは当時の軍令部であり、
永野を筆頭とした海軍兵学校1・2番組であったと思います。

　アメリカにはめられた戦争という一面もあるにはあるのですが、
よくよく順序だてて考えていくと、最後の引き金はアメリカ
最後通牒のハルノートではなく、海軍の仏印進駐ではない
でしょうか。

　国際法上、問題はなかったと言われている仏印進駐ですが、
そもそも、ヒトラーが電撃戦をしかけてフランスを降伏させ、
傀儡政権としてたてたヴィシー政府にOKをもらってフランス
領インドシナに2個師団と海軍の一大航空基地を送り込んだ
意図は、どこからみても対米英戦準備とみられて仕方が
ありません。

　これがアメリカの対日石油禁輸を呼んだのは流れ的に間違い
なく、日本を枯渇させるためにアメリカが先に仕掛けたと
言い切るには少々、無理があります。

　いかん、最後にひとこと。

　ただ事実として、太平洋戦争がなければ欧米のアジア植民地
支配がなくならなかったのは事実であり、今日の日本の繁栄が
どうなっていたかは、微妙なところです。

　時間がないのでこのへんで。また、気がむいたら書くことに
します。